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2020年3月24日

教育プラットフォーム「Classi」と大阪経済大学が 社会人基礎力に関する調査を実施

社会で必要とされる非認知能力の定量モデルの確立に向けて
教育プラットフォーム「Classi」と大阪経済大学が
社会人基礎力に関する調査を実施

 Classi株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:山﨑 昌樹、以下Classi)は、大阪経済大学(所在地:大阪府大阪市、学長:山本 俊一郎)の芳賀 麻誉美准教授と共同で、上場企業3754社[1]を対象とした社会人基礎力に関する調査(以下「本調査」)を実施し、新たな定量モデルの検証をおこないました。
 本調査では、社会人基礎力を「企業が新卒採用者に求める非認知能力[2]を定量的にモデル化したもの」と定義しています。
  
 Classiは、全国の高校の2校に1校(2,500校超)、高校生の3人に1人(116万人)[3]が利用する教育プラットフォームを提供しています。このサービスを運営し全国の先生方とコミュニケーションを取る中で、「主体的・対話的で深い学び」を通して「生徒は何を身に付けるべきか、社会から求められる能力とは何かを知りたい」というご意見をいただきました。
 そこで、これまでの「社会人基礎力」[4]に、グローバル化や技術進歩など時代の変化による要素を盛り込んだ新しい定量モデルを研究している大阪経済大学の芳賀准教授と、教育事業をおこなっているClassiが協力をして、本調査を実施する運びとなりました。
 
 本調査は、「社会人基礎力」を定量的に調査し、「環境適応力」「多様性受容力(文化感受性)」「創造力」などの新しい能力を下位概念として加えて定義した結果となっています。社会から求められる能力を定量的に定義することで、企業の採用手法や高等教育機関のカリキュラム改善、生徒の学習に向かう姿勢など、さまざまな場面において課題の解決に活用していただくことを目指します。

■現在までに得られた結果
 上場企業327社より回答があり、うち317社分のデータの分析をおこないました。結果については、2019年8月28日に行われた日本テスト学会にて発表いたしました。

本調査で定義した「社会人基礎力」モデル(2次因子分析型)

▼結果概要
 今回、社会で求められる力は、大きく「独立的な力」と「協調的な力」の2つであるとする新しい「社会人基礎力モデル」を提案し、定量化をおこないました。
 この「社会人基礎力モデル」において、「独立的な力」は、「実行力」「主体性」「リーダーシップ力」「環境適応力」「創造力」の5つの力で構成されており、「協調的な力」は、「多様性受容力(文化感受性)」「会話力」「規律性」「ストレスコントロール力」の4つの力で構成されています。

 今後は、企業規模や業種によって、求められる能力に違いがあるかどうかについて、分析を進めていきます。

■大阪経済大学 芳賀 麻誉美准教授からのコメント
 私の研究室では、経営学やマーケティング分野をベースとしながらも、さまざまな分野のデータを扱い、隣接分野を融合した学際的な研究を行っています。“新たな学び”を支援しているClassiと行う本調査も、従来の教育学や経営学といった学問の垣根を越えた学際的な研究です。
 今回の共同研究テーマである「社会で求められる非認知能力」が明らかになることで、教育機関では、教育目標の選定、カリキュラム改定や教育方法の開発への利用が期待できます。
 企業にとっては、採用基準を明確化することが可能となり、長期的な人事戦略、経営戦略の見直しに役立ち、採用候補者には、自分の持つ能力と合致した企業を探す手がかりを提供できるでしょう。
 このように、得られた研究成果が学術研究として結実するだけでなく、知見が直接社会で役立ち、還元されることを目指して、本共同研究に取り組んでいきたいと考えています。

 Classiは、本調査を参考に生徒に求められる能力を踏まえた学習コンテンツの拡充に努め、先生と生徒にとって、より最適なサービスが選べるプラットフォームとして進化していきます。

[1] 2019年3月時点
[2] 学力テスト等で測定可能な「認知能力」に対し、数値で測ることのできない能力のこと。
[3] 2019年5月時点
[4] 経済産業省が2006年に提唱した「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な能力」のこと。

参考情報
今回の研究報告(第一報)
 芳賀麻誉美、伊藤徹郎(2019)、上場企業が新卒採用者に求める力と採用試験―経営学的視点からの検討―、
 日本テスト学会 第17回大会

今回の調査概要
 調査対象:日本の上場企業 3,754社(2019年3月時点)
 調査方法:郵送調査。希望企業には、調査結果を送付。
 調査期間:第1回調査:2019年5月13日(月)〜6月12日(水)
 第2回調査:2019年7月16日(火) 〜8月9日(金)
 回収数:第1回調査:200社,第2回調査:127社 合計327社
 *無回答および無効回答等を除く計317社を分析対象とした。

本調査における新たな3能力の定義
  「環境適応力」:急な環境の変化や時代の変化に、柔軟に対応できる力
  「多様性受容力」:他人との文化的な違いに気づき、お互いを認め合い、配慮する力
  「創造力」:人と違った視点で物事を捉え、枠組みに囚われない自由な発想をする力

大阪経済大学 芳賀麻誉美准教授の略歴と先行研究発表、論文
 【略歴】
 電気通信大学・博士(学術)
 女子栄養大学助教、一橋大学大学院国際企業戦略研究科特任講師、徳山大学准教授を経て現職。
 明治乳業(株)中央研究での勤務経験がある他、ヤフーバリューインサイト(株)(現(株)マクロミル)顧問、
 (株)ALBERT顧問などを歴任。ビジネスにおける統計手法応用やコンサルティング経験が豊富。
   現職:大阪経済大学経営学部 准教授
      早稲田大学人間科学部 非常勤講師
      日本行動計量学会 理事
      日本マーケティング・サイエンス学会 マーケティング・リサーチ研究部会 代表
   【本研究に関連する先行研究(発表)】
     ・芳賀麻誉美、天内和人(2016)、大学・高専学生調査に基づく「社会人基礎力」の測定モデルと構成因子の検討、日本行動計
         量学会 第44回大会
     ・芳賀麻誉美、天内和人(2017)、新しい社会人基礎力モデルの探索と構築1 山口県企業調査に基づく検討、日本行動計量学
         会第45回大会
   【本研究に関連する先行研究(論文)】 
     ・芳賀麻誉美、天内和人(2017)、新卒採用者に必要とされる力は何か―山口県企業調査に基づく検討-、徳山大学総合研究所
          紀要、39、67-80頁
 
経済産業省提唱の社会人基礎力について
    
https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.html
     社会人基礎力とは「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」と定義され、2006年に経済
     産業省によって提唱されました。3つの能力である「アクション」「シンキング」「チームワーク」と、12の能力要素から成 
     り立っています。

大阪経済大学について https://www.osaka-ue.ac.jp/
     所在地:大阪府大阪市東淀川区大隅2-2-8 
     設立:1949年
     代表者:理事長 藤本 二郎
      学長 山本 俊一郎

以上