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2018年7月5日

全国の高校の4割超が導入する「Classi」の学習記録データを分析

 

全国の高校の4割超が導入する「Classi」の学習記録データを分析
– 成績向上につながる効果的なICT活用方法を検証 –

 Classi(クラッシー)株式会社(※1)は、「Classi」を活用する全国約170校の生徒約2万人の学習記録データを分析し、成績向上につながる効果的な指導方法や学習方法について検証しました。

 「Classi」は、先生の授業や生徒指導、生徒の学習を、先進のICT技術でサポートする国内最大規模の学習⽀援プラットフォームです。2014年の提供開始以来、全国の4割超となる2,100校以上の高等学校に導入され、生徒80万⼈以上が利用しています(2017年12月時点)。

 本検証では、「Classi」に蓄積された学習記録データおよび、高校生を対象とした総合学力テスト「進研模試」の統計データを用いて(※2)、ICTをどのように活用すれば成績向上につながるのかについて、検証しました(※3)。

 今後もClassiは、今回の検証結果をはじめとして、ICTを活用した教育に関する有益かつ実践的な情報を提供することで、全国の先生方がさらに効果的な学習指導を行えるよう、支援してまいります。

■ 分析方法
 目的:ICT教材を利用した成績上昇につながる効果的な指導方法・学習方法の検証
 対象:以下の条件を満たす全国の高等学校169校の生徒2万851人
 1.2016年度「Classi」サービスの利用校
 2.2016年度「進研模試」総合学力テスト7月、および2017年度「進研模試」総合学力テスト7月の両方を実施した高等学校
 ※受験者数が大幅に変動した学校を除外するため、上記の2回のテストで受験者数の変動が±50%以内であった学校のみを対象としました。

使用データ:
1.「Classi」の利用記録データ
 学習動画再生回数、WEBドリル完了回数、学習記録入力回数(以上はいずれも生徒1人あたり平均値)、先生のメッセージ投稿回数、生徒の学習記録に対する先生のコメント回数(以上はいずれも学校における総数))

2.「進研模試」の統計データ
 国語・数学・英語3教科の総合偏差値(学校平均偏差値)の1年間の変化
 集計期間:2016年4月1日〜2017年7月1日
 ※学習動画再生数のみ、機能リリース日(2017年4月1日)以降の期間にて集計しました。
 協力:ベネッセ教育総合研究所

※1 Classi(クラッシー)株式会社は、株式会社ベネッセホールディングスとソフトバンク株式会社が共同で設立した、学校教育向けICTサービスを提供する合弁会社です。
※2 「Classi」では、生徒の校内テストの結果をはじめ、株式会社ベネッセコーポレーションが運営する「進研模試」などのテスト結果を自動で連携し、Web上から閲覧できる「生徒カルテ」機能を提供しています。
※3 本検証にて使用したデータは、あらかじめ学校に許諾を得たデータを使用するとともに、個人情報が特定できない状態となった、統計データを使用しています。

■主な検証結果
 1.ドリルや動画などのデジタル学習コンテンツの利用が多いほど、成績は向上する
「Classi」の「WEBドリル」や「学習動画」を多く活用している学校ほど、成績が向上する傾向が見られました(図1・図2)。本検証によって、デジタル学習コンテンツの利用と偏差値の変化に正の相関が見られたことから、成績向上には一定の学習量が必要ということが、あらためて裏付けられました。

 2.先生から生徒への働きかけが、成績向上にプラスの効果がある
「Classi」の「メッセージ機能」を活用し、先生と生徒がコミュニケーションを多く取っている学校ほど、成績が向上する傾向が見られました(図3)。また、先生から生徒へのメッセージの送信回数が多い学校ほど、「WEBドリル」や「学習動画」の利用率が高いことも分かりました(図4)。この結果から、先生から生徒への働きかけには、学習促進の効果があることが分かりました。

 3.生徒の主体的な学習の記録と先生からのフィードバックが多いほど、成績は向上する
「Classi」の「学習記録機能」を活用し、生徒が学習進捗の記録を多く行う学校ほど、偏差値の上昇幅が大きいという傾向が見られました(図5)。また、先生からのフィードバックを多く行う学校ほど、成績が向上する傾向もありました(図6)。

 「学習記録」について分析してみると、生徒の記録に対して、先生が一方的にフィードバックするだけでは学習に向かうモチベーションアップの効果は薄く、たとえフィードバックが少なくても生徒が主体的に学習記録を記入している学校の方が、成績の伸び幅がより大きいという結果が見られました。これらの結果から、学習が習慣化するまでは、ある程度先生からのフィードバックが必要ですが、最終的には生徒自らが学習習慣をコントロールすることが成績向上につながると考えられます(図7)。

■検証結果の詳細
●「WEBドリル」の活用度合いによって、「高活用群」「中活用群」「低活用群」の学校に分類し、1年間の偏差値の変化を見たところ、「高活用群」の学校では2.80アップしたが、「低活用群」の学校では1.45ダウンとなった。

●「学習動画」の活用度合いによって、「高活用群」「中活用群」「低活用群」の学校に分類し、1年間の偏差値の変化を見たところ、「高活用群」の学校では2.14アップしたが、「低活用群」の学校では0.65ダウンとなった。

●先生から生徒に対する「メッセージ」の投稿度合いによって、「高活用群」「中活用群」「低活用群」の学校に分類し、1年間の偏差値の変化を見たところ、「高活用群」の学校では1.33アップしたが、「低活用群」の学校では0.73ダウンとなった。

●先生の「メッセージ投稿」数が多いほど、「WEBドリル」完了数、生徒の「学習動画」再生数が多いことがわかった。

●「Classi」の「学習記録機能」の活用度合いによって、「高活用群」「中活用群」「低活用群」の学校に分類し、1年間の偏差値の変化を見たところ、「高活用群」の学校では1.78アップしたが、「低活用群」の学校は0.84ダウンであった。

●生徒の学習記録に対する、先生のコメント返信度合いによって、「高活用群」「中活用群」「低活用群」の学校に分類し、1年間の偏差値の変化を見たところ、「高活用群」の学校では1.43アップしたが、「低活用群」の学校では0.32ダウンであった。

●生徒の「学習記録」の投稿が多く、先生の「コメント」も多い「相互交流」タイプは、1年間で1.47アップした。これに対して、双方ともに少ない「非活発」タイプは0.33ダウンした。

●先生の「コメント」が少なくても、生徒の「学習記録」の投稿が多い「生徒中心」タイプは、1年間で1.71アップした。生徒の主体的な学習記録が習慣化されることで、成績向上にプラスの効果を持つ可能性がある。

以上